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VOL.192 / 2026.08.08

スイスで果たしたMission

連日の猛暑、酷暑。息苦しいほどの暑さの中で日々を頑張る皆様へ、少しでも涼やかな風をお届けできたらと思い、今回は7月末に行ったスイスでの出来事を綴ろうと思います。
今回の私の旅には、たった一つの大きなMissionがありました。それは、母の散骨です。

スイス・ベルナーオーバーラントの山々

澄んだ空気の向こうに、雄大なアルプスの山々が広がります。

Chapter 01

母と過ごしたWENGENでの夏

私と母は、14年間にわたり毎年の夏をスイスのベルン州ベルナーオーバーラント地方にある「WENGEN(ヴェンゲン)」という小さな村で過ごしてきました。
ここはガソリン車の乗り入れが禁止されているため、空気がどこまでも澄みきっていて、村を歩けば遠くからのどかなカウベルの音が聞こえてくるような美しい場所です。

ヴェンゲンの村とベルナー三山

ユングフラウ、アイガー、メンヒ、「ベルナー三山」の神々しい姿。

ここから見上げるベルナー三山の神々しい姿は、訪れる誰をも魅了してやみません。
母も例に漏れずこの景色を心から愛しており、「自分が死んだら、ここの土に還してほしい」と、生前ずっと明確な意思を私に伝え続けてきました。だからこそ、その願いを無下にするわけにはいかなかったのです。

Chapter 02

3年越しの約束

母が亡くなって、早いもので3年が経ちました。
私は10年間、自宅でいわゆるワンオペで母の介護をしていましたが、最後に二人でスイスを訪れたのは母が88歳の時でした。
「おそらく、これが一緒に来る最後になるだろうな」と互いに予感しながら、定宿に泊まり、いつも歩いていたお気に入りの道を半分ほどは馬車に揺られながら、ただ静かに山を愛でた穏やかな時間は、今でも私の宝物です。

その後、コロナ禍など様々な事情で延期が続きましたが、「今年こそは絶対に行く」と決心。
母の遺骨を一握り、トンカチを使って自分で細かく粉末状にして小袋に詰め、いざスイスへ出発しました。

Chapter 03

変わらない山と、変わったもの

久しぶりに訪れたスイス。圧倒的な大自然の美しさは何一つ変わっていませんでしたが、一方で変わっていたのは、昨今のオーバーツーリズムの波と、思わず二度見してしまうほど異常に高いスターバックスのコーヒーのお値段(笑)。
そんな世俗的な変化に少し苦笑いしつつも、登山列車に揺られていつものWENGENの村へと降り立ちました。

登山列車からの風景 ヴェンゲンの村の風景

登山列車に揺られて、いつもの村へ。何度訪れても心が洗われる景色です。

Chapter 04

Mission、無事完了

すれ違う人たちの「Grüezi(グリュエツィ)」という穏やかな挨拶に迎えられ、母が大好きだったハイキングコースをゆっくりと辿ります。
足元に咲くアルプスの高山植物や、遠くに見える氷河。母が立ち止まって山を眺めていた場所や、冷たい湧水をすくった川。

母との思い出のハイキングコース

母と何度も歩いた、思い出のハイキングコース。

かつての情景が鮮明に蘇る中、思い出の場所に立ち、遺骨を撒きました。
無事に母を大好きなスイスの大地へ連れてこられたことに、深い喜びと安堵で胸がいっぱいになりました。

思い出の場所での散骨の様子。ぜひ動画をタップしてご覧ください。

供養とは、その人を決して忘れず、常に傍らに想いを寄せることだと聞きます。
今頃、母もあの美しい山々を見渡しながら喜んでくれているでしょうか。

Mission、無事完了!
でも私の心はこれからもずっと、スイスの空の下にいる母の側に居続けます。

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