VOL.22 / 2018.09.11
素材が持つエレガンス
秋です。やっと秋です。
もちろんまだ十分暑いですが、言葉だけでも秋です!と言って、涼しい気分にひたろうともくろんでおります。
なんて思っていたら、秋の定番(でも今年は春ごろから何回も来日されていますが)物凄い台風が列島を襲い、関西は特に甚大な被害だということで…。北海道地方における地震により、被災された皆さまやそのご家族の方々にも、心よりお見舞い申し上げます。
さて、年を重ねてくるとファッションはだんだんシンプルなアイテムを、センス良く着ることを好むようになりますよね。それはつまり、飾り気がなく誰が着ても同じようにしか見えないはずのシンプルなTシャツとかプルオーバーなどを、着こなしやちょっとしたアクセサリーで誰とも違う私だけの一級品に仕立て上げるということなんですが。年々、チクチクガサガサする感じが苦手になってきて、やはり着心地を重視するようになってまいりました。
若い頃はセンスの足りなさを袖にデコレーションがあったり、裾にたっぷりのギャザーがあったり、細部でごまかしてきたのですが、40代も半ばを超えたあたりからは、そういったデザインアイテムにはさすがに目を向けなくなりました。
その代わり、シンプルなニットの袖をまくって華奢な手首に大きめの腕時計や細いブレスレットを合わせて大人のエレガンスを演出したり、首のシワを気にせずVラインのきれいな開きにゴージャスな3連のネックレスをじゃらじゃら着けてみたり。自信と気品と、自分を引き立てるシンプルなファッションに憧れるようになってきています。
そんな時に一番大事なのはやはり素材の素性。ファストファッションも悪くはないけれど、やはり40代を超えた女性が気品を身に着けて歩く姿は素材の良さがないと成り立ちません。
そこで大きな味方になるのは、やっぱりシルクやカシミヤなんですよね。実用的に天然繊維は他の追随を許しませんが、最近は化学繊維でも着心地という意味ではフワフワやサラサラしたものは出回っています。でもうまく言葉では言い表せないのですが、表面的なサラサラ感とかではなく、心が包まれる感じとでも言いましょうか。もっとdeepな意味での心地よさを魂が感じる、そういう素晴らしさが天然繊維にはあるのです。
プラス、そういう良い素材を身に着けているという、年を重ねていいものに辿り着いたという誇りが着ている“私”を輝かせると思うのです。
「マダム」という存在がとても尊敬されるフランスやイタリアで、ゴージャスなマダムが背筋を伸ばして颯爽と歩いている姿を見ると、そこには光沢の美しいシルクセーターやカシミヤの柔らかくてあたたかなオーラが必ず一緒にいたりするものでした。
そろそろ、暑さだけを考えないでおしゃれを楽しめる季節がやってきます。今年はゴージャスマダムに一歩でも近づけるように身も心も自信をもって歩けるように頑張りましょう。