VOL.125 / 2023.07.18
ベトナムでシルクを着る
ブランドディレクターの生き方指南書
前回のジャーナルで少しふれたように、ベトナムへ行ってまいりました。今回の旅の目的地はニャチャンと約30年ぶりのハノイ。
ニャチャンとはハノイから飛行機で南に1時間半のベトナムきってのリゾート地なのですが、日本人はほとんど知らないか、訪れない場所だそうです。現在雨季のベトナムで何故かここは乾期。毎日晴れの良い天気でした。
ベトナムの開発って海岸線だけ見ると、ここはドバイかハワイ?という趣で、夜のネオンはそれはにぎにぎしく、私は喧騒を離れてまわりには何もない一軒家ホテルに滞在していたのですが、そこから見える夜景はプロジェクションマッピングも盛んで、ちょっと引くくらいすごいものでした。
うって変ってリゾートしている私が滞在したホテル。
AMIANA公式HPより
四つのプールにプライベートビーチ。透明な海にもぐるとトロピカルフィッシュがたくさん泳いでいます。このお宿で朝食付きで13,000円位だからベトナムリゾートはお勧めですよ。
さて、今回のいで立ちはシルクモダールフレンチスリーブと旅行には鉄板のシルクモダールパンツ。春夏で旅に出る時はいつも決まってこれなんですが、飛行機の中ではカーディガンを羽織っていればストレスなく快適に過ごせるので、これ以外の選択肢はありません。ちなみに秋冬はウォームシルクの裾スリットパンツが私の定番。
足元にちらりと見えている黄色い靴下は、現在開発中のシルクコットンハイソックス。最高に履き心地が良くて、機内の強い冷房でも足元は暖かく、今後はこれも旅のお供になること必至。発売を期待していてください。
という感じで、4日間のシュノーケリング三昧のおかげで真っ黒になり、シミもシワも確実に増えるであろうことを予測しながら30年ぶりのハノイへ行きました。
私が前回行った時はちょうどドイモイ政策を取り始め市場経済がベトナムという社会主義の国で動き始めたばかりの頃です。まだうぶ声をあげたばかりの時でしたが、私有財産が認められ、人々は夜を徹して働き、ものすごいエネルギーを発していました。「ああ、この国は大発展を遂げるだろうな~」というのは旅行客の目にも明らかでしたが、30年たって予想通りの国になっていました。
街には外国人向けのカフェが立ち並び、前回見た時には朽ち果てそうだった大聖堂はライトアップされ美しく輝いています。
さて、雨季のハノイ。毎日大体雨は降る。湿度はほぼ90%位でしょうか?
東京の夏よりずっと湿度は高く感じます。私は湿気が大好きで、暑いのも大好きですが、結構ヤバい。街歩きにはシルクワイドパンツの中に風を送り込みたくなる湿度と暑さ(汗)
夕暮れになると少しだけ涼しくなるので皆さん湖の周りに集まってダンスをしたり、瞑想したりして過ごしています。
ベトナムの人々のこんな姿を見ていると、北も南も関係なかったのか、とベトナム戦争のことを考えざるを得ません。
ベトナムは不幸な歴史を通ってきた国です。1000年に及ぶ中国の支配。後にフランスの支配により100年間インドシナとして植民地となり、フランスと交戦。その後、ベトナム南北戦争、カンボジア紛争と戦は堪えませんでした。それなのに、ベトナム語を守り抜き、フランスのパンの文化をちゃっかり取り入れて今やベトナム名物となったバインミーを創りあげたり、したたかな民族です。
ベトナム人は手先が器用で働き者だったためにフランスは全ての植民地をあきらめてもベトナムだけは手放すまい、として泥沼の戦争を続けたそうですが、さもありなんと思わせる、ベトナムの美しい手仕事の数々はほんとうに素敵。
ベトナムシルクのお店にも行きましたが、そのクォリティーの高さには驚きました。アオザイ(ベトナム女性の民族衣装)を勧められた時に、「シルクは夏涼しくて、冬は暖かいのですよ」と言われ、ウムム、どこかで聞いたセリフ!アオザイのデザインは女性の身体のラインをとってもきれいに表現してくれる稀有な衣装だと感心しますが、正装なので、現代の女性はシルクのアオザイをパーティーやお呼ばれの時に大事に着るそうです。ここでもシルクの文化がきちんと守られてきたのですね~。
私もそんな中で日本から持参したドレスハーセルフのシルクを着て、ジメジメしたハノイの雨季を堪能したのでした。
ベトナムは近くて、安くて、美味しくて、おすすめの国です。まだ行ったことがない方がいらしたら、ぜひベトナムへ行ってみてくださいな~
ブランドディレクター”Y”
大学卒業後、インテリアブランドを立ち上げる。20年にわたるブランド構築経験を活かした後、ブランドコンサルティングを開始。DRESS HERSELFでは、自身の実体験や同世代の悩みをすくい上げ、女性の生き方をベースに、コンセプトからシーズン毎の企画、方向性などを牽引。世界中で暮らし、旅した経験があり、ロックで自由でパワフル。