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VOL.149 / 2024.11.19

バングラデシュへの旅 vol.2

今回の旅の一番の目的であったNGOのBNWLAを訪れました。
BNWLAとは、Bangladesh National Woman Lawyers Associationの略で、弁護士を志す女性たちのための基金です。法的に、また社会的に平等ではない女性達を守るために女性の弁護士を育成して、無料で被害を被っている人たちを助けることを目的とした組織です。

事務所でまずはBNWLAの活動概要の講義を受けて、いざこの組織の活動の一環である、女性保護シェルターの村へ。

イスラムの国では女性の地位が不安定で、夫からの暴力、夫の家族からの虐待など、ひどい仕打ちがあっても女性側からの離婚請求はなかなか叶いません。
そういう家族から逃げてきた女性たちと、売春目的で海外に売られていく女の子を保護するシェルターがダッカ郊外にあり、場所は秘密で私達もどこに行くのか、事前に知らされませんでした。

厳重なセキュリティーガードに守られて扉が開くと、20人くらいの着飾った年若い女性と幾人かの子供たちが、私たちを大歓迎してくれました。
みんな、私達が来るのを楽しみにしてくれていて、子供まで口紅を付けて最高のおしゃれをして待っていてくれました。保護の目的から女性たちの写真はNGです。

とてもきれいに整えられたお部屋、トイレ、リビングルームや食堂を見せてもらいましたが、みんな自分たちで食事を作り、配膳し、お掃除をして暮らしをきちんと送っています。これはどんな境遇でも心が荒まないようにするために、また、立派な女性として地に足を付けて生き抜くためにも必要なことだと感じました。

ここでは、長年ここにいるお姉さんたち、ここを巣立って独立している人たちが交代で新しい入所者や小さい子の面倒を見ています。英語も勉強しているようで、一生懸命英語で話しかけてくれました。

ここを訪れるにあたり、心に傷を抱えている幼い女の子たちに少しでも不安を感じさせないように、あらかじめベンガル語のできる通訳の方を頼んでおいたのですが、その方は在バングラ14年の言語のエキスパート。
バングラがパキスタンから独立を望んだ一番の理由がベンガル語を守り抜くためだったこともあり、バングラの人にとってベンガル語を話す外国人なんて、もう本当に特別です。
3人の日本人の訪問客のうち、もう一人は今回の旅でホームステイさせてもらった、やはりバングラのご主人のいる在9年のベテラン。
2人はベンガル語が達者だったおかげで、女性たちの口から率直に、ひどい仕打ちにあってきたこと、それをBNWLAのスタッフが助けてくれたこと、勉強も一生懸命やって、カレッジに行けるようになったことなど、涙あり、笑顔あり、未来あり、の肉声が聞けて、とても有意義な訪問となりました。

想像していたより立派な建物で、清潔に暮らしていましたが、キッチンはあるものの燃料がないので、煮炊きはいまだに外でやっているそうです。
ビックリすほど美味しいランチをご馳走になったお礼に、日本から持ってきた和菓子をみんなに振舞い、踊りを見せてもらったりして、この日の貴重な訪問は終了。

絶望から抜け出せた女性たちの話を聞いていると、日本人に生まれて、日本に生きているだけで大変なラッキーと思わざるを得ません。ここの女性たちは親に売られ、連れ戻してもらっても還る故郷もなく、抱きしめてくれる人もいない。
女だから、貧乏だから、この国に生まれたから、と絶望しかなかったのに、BNWLAに助けてもらって、人間らしい暮らしを取り戻し、学校へも行けるようになり、大学教育も受けられた。信じられない努力と不屈の精神のたまものです。

だから、ここにいる若き女性たちはみんな透き通るような明るい笑顔。小さな子を大きな子たちが遊んであげて、助け合って暮らしているのがよく分かりました。
今ある自分に再度感謝して人生を全うしないと…と深く思わせられた訪問となりました。


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